刀削麺を食べた

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刀削麺を食べた。食べ終えたあとレジまで向かうと、自分の前に会計していたのは双子をつれた若い夫婦だった。妻が支払いをしていた。なぜ領収書をもらう人はいけすかないのだろう。領収書をもらうという行為そのものではなく、その人自身がいけすかないのである。

大崎はゲートシティ


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マクドナルドの福袋が当選していたため、ゲートシティの店に行った。営業時間が短縮されていたため買えなかった。事前にホームページで営業時間は調べていたが、それとは異なる営業時間が掲示されていた。

 

 

憤っていると目の前にはま寿司があったため吸い込まれた。

 

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生き〆真鯛は大層うまい。身が柔らかく食感もいい。追加で2皿注文する。

 

レーンに届いたのは1皿だ。もう1皿遅れてくるのかと待っていたがなかなか来ない。レーンの川上が気になり見てみると、皿をスティールしている老人がいた。素早い手付きである。

大晦日は蕨で

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佐久間は10月に蕨に越して来たばかりだった。転職にあたり地元の広島から蕨にある会社の寮に移ってきたのだ。入社して仕事に馴れていないこともあり、会社と家との往復しかしてこなかった。会社は西川口にあり、京浜東北線で一駅。池袋や上野に飲みにでることはあったが、蕨周辺は出歩いたことがなかった。

 

接客業のため、年末年始も出勤しなければならない。特に佐久間のような上京組、かつ入ってまもないともなると、休まず働くことになる。

 

晦日の朝、早めに起きてしまった。9時には店が開くため8時半には出勤するが、それでもまだ時間がある。こういうとき、いつもならば朝のニュースでも見ながら時間を潰すのだが、年末のためバラエティの再放送が流されている。テレビ局は再放送をながしてサボりながら高給を取り、自分のような庶民はこうして働かなければならないのである。

 

テレビを消して家をでた。いつもの道沿いに和楽備神社があるのは知っていた。前職のときは土日休みだったので、友人と予定をあわせてこうした寺社仏閣巡りなどをしていた。今は休みも平日で、友人も近くにいないため、家で過ごすことが多かった。

 


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いつもより早めに出たため、時間に余裕があった。神社のなかを覗いてみる。結構大きな神社だ。大通りからはこの鳥居は見えていなかったため、少し驚いた。

 

「いい感じじゃん」

 

神社は初詣セッティングになっておりフライングで干支の絵馬も飾ってある。なかなかデザイン性もあり、かわいい。束の間の観光気分でイヤな気持ちも少し薄れた。しばらく敷地内をみてまわった後、いつも通りの駅までの道を急いだ。

 

 

新宿地下通路の熱帯魚


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新宿駅の地下通路には唐突に熱帯魚の棲む水槽が現れる。色は地味だ。熱帯魚を見るために立ち止まったりしたら迷惑な場所に設置してある。誰が何のために置いたのだろう。掃除はきちんとされており、誰かの管理下に置かれていることは間違いない。自分がどこに存在するのか露も知らず、熱帯魚たちは優雅に漂っている。

 

鈴木は椎茸型に禿げた男だった。M字、カッパなど禿げ方にも種々あるが、彼はすき焼きに入っている椎茸のように、切り込みを入れたように禿げたマッシュルームカットだった。大学時代はむしろ毛量も多い方であり、禿げる気配などなかった。しかし祖父が両家とも禿げていたことから薄々このときはくるのだと覚悟していた。しばらく先のことだろうと高を括っていた矢先、仕事の責任も増えストレスも重なってきた20代半ば、そのときは無惨にも訪れたのだった。

 

そのような鈴木には所帯どころか彼女すらいない。しかし齢28の健康な青年たる彼には有り余る精力と人恋しさに溺れそうになっていた。ハプニングバーに行ってみようと思った。熱帯魚の脇を抜け、下調べした通りのビルの地下2階へと続く階段をいざ降りようとした。

 

階段には男たちの行列ができていた。年末、仕事納めをした者もいるだろう。さあ安価にセックスしてやろうじゃないかと意気込んだ男たちが連なっていた。風俗の待ち合いとは違う雰囲気だ。ハンター試験の前、天下一武道会の前、それぞれどんなライバルがいるか気になっている様子のあの雰囲気。こういうとき、鈴木は自分に似た男をつい探してしまう。自分を客観視するための本能なのかもしれない。

 

見つけた。メガネをかけた黒いダウンの男。メガネだが「メガネ男子」には分類されないタイプだ。じっとスマホを見つめながら列に立っている。

 

「こいつには無理なんじゃないかな」

 

その率直な感想を言い訳に踵を返した鈴木は、先ほど店を出て列の横を通りすぎた、女性2人組がビルの前にいるのに気付いた。片方はアラフォーの美熟女、片方は20代後半の美人といった感じである。気になって少し待っていると、遅れて出てきた男二人と合流した。待ち合わせしていたようだった。

「男多すぎてやばかったっすね」

4人組の会話から常連らしいことを察し、少し盗み聞きした後、鈴木は新宿駅への雑踏へと歩きだした。