犬と思ったら犬でも猫でもなかった話

 夜、道を歩いていると犬のような影が駐車場から顔を出し、目の前を横切って行った。首輪がついていないので野犬か。危ない。しかしよく見ると犬にしては体がスリムであり、猫のようにも見えた。それならば犬のように人を襲う危険がないから安心だ。私は以前、宮崎の青島で野犬に30ⅿほど追いかけられたことがあり、野犬には人一倍の警戒心を持っている。猫であればまさに癒しの象徴であり、鼠をとらえる益獣でもある。安全を確信した私は、道を渡り終えたその猫を横目に通り過ぎようとした。しかし、その顔をよく見ると、猫ではなかった。犬でも猫でもなければ、狐でもない。イタチやフェレットでもない。哺乳類ではあるようだ。私が何の動物か考えながらじっと見つめていると、その生き物は林の中へと消えていってしまった。家に帰って調べてみると、それはどうやらハクビシンという生き物らしかった。ハクビシン・・・。君の名はハクビシンというのか。確かにこんな感じに長いしっぽをしていた。しかし農作物を食べ荒らす害獣らしい。犬猫以外の哺乳類を目撃すると好奇心と何かでテンションが上がってしまうのは、町の人間のみの性質かもしれない。