阿佐ヶ谷でハラミ丼を食べた

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阿佐ヶ谷でのバイトの前は、春日部で泊まりの仕事だった。夕方の東武伊勢崎線下り列車は、満員とは行かないまでも8割くらいの乗車率で、私は車内の扉前に立っていた。入谷駅、発車ベルが鳴り扉が閉まり始めたとき、ホームのベンチに座る女性の横にピンク色の水溜まりができていることに気がついた。なんだろう。

 

 

ベンチに座る女性は30代くらいのOL風、でハイネックにトレンチコートを合わせたオフィスカジュアルな格好をしていた。女性は厳かに横を向き、口元に手をあてる。指の隙間からピンク色の液体がこぼれた。吐物はピンク色の水溜まりを形成する。ピシャピシャと飛び散る。

 

扉は閉まり続けるため、私は一歩踏み出すことはできなかった。周りは女性が視界に入っていないようだ。無理もない。それだけさりげなく嘔吐していたのだから。